
なぜこれを作ったのか
夏の体育館でのスポーツは暑くて汗だくになります。
特に腰回りは発熱発汗が多いです。アンダーウェアのゴムベルトにタオルを挟むと、汗をそのまま吸ってくれるので少しは快適に運動できます。
休憩中に手でゴムベルトを緩めてウェア内に風を通すととても快適です。ボクシングのインターバルでもセコンドが選手のゴムベルトをパタパタ引っ張ってウェア内に風を送る光景はお馴染みですね。
- 人は腰回りでよく発汗する。
- ウェア内は通気が良いことが理想だ。できればずっと通気が良い状態を維持したい。
- ウェア内に熱がこもるのはゴムベルトが通気を妨げているからだ。
というポイントに着目して、理想に近づけるアイテムをかたちにしたいと考えました。
課題設定 これが解決したら面白い
- 手を使わずにゴムベルトに常時隙間を作る
- どんなウェアにも付けられるようにする
- ウェアの中が丸見えにならないようにする
- つけ心地の良いものにする
- 肌に触れるものなので抗菌仕様がよい
解決手段 試作の概要
最初期の試作はタオルを丸めて挟んだり、ストローを束ねて挟んだり、段ボールやプラ板を挟んでクリップでベルトに留めるというお試しから始まりました。長らくPendingになっていましたが、3Dプリンタを導入してから理想的な解決に向けての試作が再開します。

設計ツールはFreeCAD。自社の試作用3Dプリンタで出力してすぐに検証が可能です。
上の形状のクリップをウェアの内側に挟むことで、これまで閉じていたゴムベルトの内側に150mm x 18mmの隙間を作ることができます。ベルトゴム幅が30mm程度のものが多いのでそれをカバーすることと安定した装着のため高さは50mmにしました。(1の解決)
※ただしお腹の肉が多めの方は、このアイテムが作った隙間をお腹の肉が上から塞、、、
クリップ部分は弾力があり、薄手のウェアなら生地を選ばずに挟むことができます。スポーツウェアだけでなく、下着、肌着、ルームウェア、スカートにも装着可能です。前身にも後身にも付けられます(2)
隙間は最大18mmになります。検証結果として、他者からウェアの中は見えませんのでご安心を(3)
着け心地にも多くの課題がありました。
「着けていて硬い」を解決するために、板は厚さ1mmとし、穴を多数開けることで、板は体の曲線に沿って柔らかく曲がるほど柔軟になりました。
「角が食い込んで痛い」を解決するために、当初3箇所あったクリップ壁を2個所に減らし、板の角に大きな曲面を設けて、肌への当たりを柔らかくしました。
「樹脂製のため肌に触れた時に汗でペタペタして不快」なので、これも解決が必要でした。
紐留を追加しました。紐留部にヘアゴムをかけて、お好みの布を挟んでもらえるようにしました。
体と板の間に布が挟まることで、ペタペタする不快さは解消されました。
あらかじめ布を貼り付けることも検討しましたが、剥がして洗濯する手間もありますし、人それぞれ生地の好みが違います。このための生地を用意する必要はなくハンカチを挟むのが最も手軽です。
板の弾力でヘアゴムの部分が肌から浮きますので、肌にヘアゴムが当たることもありません。
多くのアイデアを取り入れて、着けているのを忘れるほどの「着け心地」を実現することができました。
家で着けていて、トイレやお風呂に行くタイミングで「あぁ、そういえばこれを着けてたな」と(4)
材質は医療用グレードの「抗菌性樹脂」を選択しました。汗で濡れても菌の発生が抑制されて安心です(5)
効果の検証
パンツの中に湿度センサを入れて、従来のゴムベルトが隙間を塞いでいる状態と、このアイデア品を着けている状態で湿度の比較を行い、その効果を確認しました。
開発品


こうして、これまでになかったウェア内の通気を良くする隙間クリップが完成し、夏場はとても快適になりました。
「ウェア内が蒸れて不快ではないですか?」 「いや別に、普通でしょ」
「このアイテムで快適になりますよ」 「いや、困ってないから」
という感覚が大多数の中で、私と同じようにウェアの通気性が悪いことを問題視して解決が必要と感じている方が、全国にもう一人くらいはいるのではないかと思います。何かの御縁でこの記事にたどり着きましたら、作って差し上げますのでご連絡ください。


